ひとりぼっちの君へ

重めのドアを横に開ければ、図書館のような本の匂いが鼻をついた。
少しのホコリっぽさを含むが、店内は思っていたより綺麗で、背表紙の厚めな難しそうな本がズラッと並んでいる。
奥の方で頭の良さそうな眼鏡くんが眉間に皺を寄せて本を選んでいた。


「完璧場違いだろ、俺ら」


西村の言葉が背中から聞こえて、その通りだと思ってしまった。本当にあの子はここで働いているのか?
ちらり、レジの方向を覗き見る。そこに座っているのは年配の男の人。

仕方がないと心の中で呟いて、俺は参考書を探す。


「おい、なんか買うのか?」
「参考書」
「まじかよ」
「一応受験生だしな」


母親からお金も貰ったし、良い機会かもしれない。
眼鏡大学生の後ろをすり抜けて、数Ⅲとか英単語マスターとか、見慣れた文字が並んでいる棚に辿り着いた。

そこで俺の動きはピタリ、止まる。


(いた。)


思わず声に出しそうになるのをぐっと飲み込んだ。
だけど、そんな俺の努力を後ろから来た西村が踏みにじることになる


「あーっ!居た!!!」


店内に響くほどの大きな声。人を指差しちゃいけませんって小学校で習いませんでしたか、西村くん…。