狐が明らかに自分を喰おうとしていたのに感づいたハツは、一目散に図書倉庫から逃げ出した。
昔から、人外のモノに狙われる事は多々あったハツは、足の速さには自信があった。







「っ・・・・・かわいー見た目に・・・だま、さ、れた・・・」







時折振り返りながら走るハツ。
下校時刻はとっくに過ぎており、今は部活があってる最中。
何時もはいる吹奏楽部も、今日は校外練習と聞いていた。
生憎と先生は別棟の職員室で今は会議中。

したがって今、ハツがいる棟内校にいるのはハツだけの可能性が極めて高い。







「あっ・・・本持って来ちゃった」







図書倉庫で見つけた古びた本。
紐を解いてしまったため、あの狐と会話しながら直そうと思った矢先の事だったからついそのまま持って来てしまった。







「アレ?紐が白くなって・・・」






赤色だったはずの紐が白くなっている。


手に持っていた紐を見て何故だ?とハツが考えていた時だった。