おぼろげな意識の向こうで、流行りの唄が聞こえる。
あ……この曲好き……なんて考えながら重い瞼を開ける。
いつの間にか眠っていたみたい。
レースのカーテン越しに差し込む日差しの角度が、もう夕暮れ時が近いことを物語っていた。
あたしは気だるい体を無理やりに起こした。
あたしの目を覚ました曲は、卓巳君の携帯の着信音だったようだ。
しばらく鳴り続けていたそれは、やがてプツンと途絶えた。
「卓巳君……携帯鳴ってたよ?」
あたしの横でまだ眠っている卓巳君に声をかけた。
だけど、卓巳君は相当深く眠っているようで、あたしの声には全く反応しない。
あたし達はベッドではなく、床の上で何度も愛し合った。
“愛し合った”という言葉が適切なのかはわからない。
卓巳君は何度もあたしの体を求めた。
激しくて……強引で……いつもの優しい卓巳君じゃなかった。
それでもこんな寝顔を見ているとやっぱり愛しさがこみ上げてくる。
あたしは手を伸ばして、卓巳君の頬にそっと触れた。
その途端、またさっきの曲が流れて、あたしの指はビクンッと震えた。
「卓巳君、携帯鳴ってるよ? 起きて?」
あたしは卓巳君の体を揺すった。
「んー……悪い。取って……」
卓巳君はまだ目を瞑ったまま、腕を伸ばす。
あたしはローテーブルに置いてある携帯を手に取った。
その瞬間、見るんじゃなかったと後悔した。
手にした携帯のサブディスプレイに表示された名前は
――【和美】。
あ……この曲好き……なんて考えながら重い瞼を開ける。
いつの間にか眠っていたみたい。
レースのカーテン越しに差し込む日差しの角度が、もう夕暮れ時が近いことを物語っていた。
あたしは気だるい体を無理やりに起こした。
あたしの目を覚ました曲は、卓巳君の携帯の着信音だったようだ。
しばらく鳴り続けていたそれは、やがてプツンと途絶えた。
「卓巳君……携帯鳴ってたよ?」
あたしの横でまだ眠っている卓巳君に声をかけた。
だけど、卓巳君は相当深く眠っているようで、あたしの声には全く反応しない。
あたし達はベッドではなく、床の上で何度も愛し合った。
“愛し合った”という言葉が適切なのかはわからない。
卓巳君は何度もあたしの体を求めた。
激しくて……強引で……いつもの優しい卓巳君じゃなかった。
それでもこんな寝顔を見ているとやっぱり愛しさがこみ上げてくる。
あたしは手を伸ばして、卓巳君の頬にそっと触れた。
その途端、またさっきの曲が流れて、あたしの指はビクンッと震えた。
「卓巳君、携帯鳴ってるよ? 起きて?」
あたしは卓巳君の体を揺すった。
「んー……悪い。取って……」
卓巳君はまだ目を瞑ったまま、腕を伸ばす。
あたしはローテーブルに置いてある携帯を手に取った。
その瞬間、見るんじゃなかったと後悔した。
手にした携帯のサブディスプレイに表示された名前は
――【和美】。

