いつもより賑わいを見せる商店街を通った。
流れてくるクリスマスソングや、華やかな飾りつけのせいかな……
行き交う人みんなが幸せそうに見える。
あたしはある店の前で足を止めた。
それは小さなケーキ屋さん。
有名パティシエの作る洗練されたケーキというよりは、昔ながらの素朴な味わいの手作りケーキが並ぶような、そんなお店。
何かに引き寄せられるように、あたしは自然とそのドアを開けて、中に入った。
「いらっしゃいませー」
にこやかな笑顔を向けてくれた店員さんに戸惑いながらも、あたしはショーケースに近づいていった。
ショーケースの上段には、生クリームやチョコレートでデコレートされたホール型のものや切り株風のクリスマスケーキが並んでいた。
「ありがとうございました」
そんな声に顔を横に向けると、あたしと同い年ぐらいの女の子が箱に入ったケーキを受け取っているところだった。
その隣には彼氏らしき人がちょっと気恥ずかしそうに立っている。
彼女はケーキを彼氏に持たせると、自分の腕を彼の腕に絡ませる。
そしてとろけそうな笑顔で彼氏におねだりしている。
「後は……シャンパンと……チキンもね」
きっとこれから二人でパーティでもするんだろうな。
大好きな人と過ごすクリスマスイブ。
シャンパンで乾杯して、ケーキにロウソク灯したりして。
それでプレゼントを交換したりするんだろうな。
……なんて。
想像するだけでちょっとくすぐったくなっちゃうぐらいベタなシチュエーションなんだけど……。
でもそういうの、ちょっと憧れていたりして。
「お決まりですか?」
その声にハッとして顔をあげると、ショーケースの向こうでニコニコ笑っている店員さんと目が合った。
「いえ……。あの……」
流れてくるクリスマスソングや、華やかな飾りつけのせいかな……
行き交う人みんなが幸せそうに見える。
あたしはある店の前で足を止めた。
それは小さなケーキ屋さん。
有名パティシエの作る洗練されたケーキというよりは、昔ながらの素朴な味わいの手作りケーキが並ぶような、そんなお店。
何かに引き寄せられるように、あたしは自然とそのドアを開けて、中に入った。
「いらっしゃいませー」
にこやかな笑顔を向けてくれた店員さんに戸惑いながらも、あたしはショーケースに近づいていった。
ショーケースの上段には、生クリームやチョコレートでデコレートされたホール型のものや切り株風のクリスマスケーキが並んでいた。
「ありがとうございました」
そんな声に顔を横に向けると、あたしと同い年ぐらいの女の子が箱に入ったケーキを受け取っているところだった。
その隣には彼氏らしき人がちょっと気恥ずかしそうに立っている。
彼女はケーキを彼氏に持たせると、自分の腕を彼の腕に絡ませる。
そしてとろけそうな笑顔で彼氏におねだりしている。
「後は……シャンパンと……チキンもね」
きっとこれから二人でパーティでもするんだろうな。
大好きな人と過ごすクリスマスイブ。
シャンパンで乾杯して、ケーキにロウソク灯したりして。
それでプレゼントを交換したりするんだろうな。
……なんて。
想像するだけでちょっとくすぐったくなっちゃうぐらいベタなシチュエーションなんだけど……。
でもそういうの、ちょっと憧れていたりして。
「お決まりですか?」
その声にハッとして顔をあげると、ショーケースの向こうでニコニコ笑っている店員さんと目が合った。
「いえ……。あの……」