そしてもう一度鏡の中を覗きこんで自分に言い聞かせる。


ずっと考えて、考えて……決めたこと。


今日、ちゃんと告白する。

「好き」って言葉にするんだ。


それで振られたら、もう二度と会えないかもしれないけど……。


それでも勇気を持たなきゃ。


「よし」


コートを羽織って、忘れ物がないかチェックする。


ふと部屋の隅に置きっぱなしの紙袋が目に入った。

卓巳君へのクリスマスプレゼント。

和美さんのお店で買った手袋だ。

せっかく買ったものだけど、やっぱりこれは渡せない。


結局、卓巳君へのプレゼントは用意できなかった。

形に残るものをあげても迷惑かもしれない……。

そんな気持ちもあったから。


マフラーを首に巻いて、時間を確認しようと携帯を手に取ると、着信メールのランプが点灯していた。


メールの相手は沙耶だった。

【頑張れ】

たった一言だけだったけど、そこには沙耶の想いがたくさん込められているような気がした。



【うん。頑張るね。ありがとう】


そんな言葉を返して携帯を閉じた。


今日で最後になったとしても、きっと後悔しない。

あたしの気持ち……全部伝えるから。


あたしは大きく息を吐き出して、部屋を出た。