キョトンとするあたしに、卓巳君はまるで拗ねた子供みたいにそっぽを向いてポツンと呟く。


「なんでもねぇよ」



「そか……」


あたしには言いたくないことなのかな。

そりゃそうか。

クリスマスイブは和美さんと過ごすんだもんね。



「……でも、そんなに無理して、体大丈夫?」


「んー……あんまし大丈夫じゃない」


その言葉の最後の方はほとんど聞き取ることができないぐらい小さくなっていた。


そしてそのまま

「オレ……も…限界」

そう言って、パタンとテーブルに突っ伏してしまった。


聞こえてくるのは、スースーという寝息。

は、早っ……。

もう寝ちゃったのかな……。



「あ。そだっ」


何かを思い出したようなパッと明るい表情をして、優一君は隣に座る沙耶に声を掛ける。


「沙耶ちゃん、イブ暇?」


「どうせ暇だよ……。悪かったわね」


ふてくされたような表情で答える沙耶。

今年のイブも彼氏とは過ごせないらしい。


そんな沙耶の様子を気にするわけでもなく、ニコニコしながら優一君は言葉を続ける。


「じゃさ。合コンしない?」


「はぁ? イブに合コン? やだよ、そんな寂しいこと」


「いいじゃん。一人身の寂しいヤツばっか集めてさ、パァとやろうよ」


「んー……」


しばらく考え込んでいた沙耶は半ばヤケクソって感じで表情を変えた。


「ま、いっか。そだね。パッとやろう! つか、良い男連れてきてよね」


「まかせとけって」


あたしの目の前で、二人は盛り上がり始めた。


そんな二人にあたしはおずおずと声を掛ける。



「あのぉ……」