ドキドキしてる……。

信じられないことしてるよね、あたしってば。

今日初めて会った人と一緒にお風呂に入るなんて、どうかしてる……。

恥ずかしすぎてどうしたらいいかわかんないよ。


でも顔が見えないだけマシかな……。

あたしの背中のすぐ後ろに卓巳君の胸があって、後ろから抱え込まれているような感じでお湯に浸かっていた。


「あ、これ入れようっと♪」


卓巳君はさっきから無邪気にはしゃいでる。

バスタブ脇に置いてあった、入浴剤のようなものをお湯に入れていた。



――ピチャン

「きゃぁ……」

天井についていた水滴が、あたしの肩に落ちる。

その冷たさに、急に我に返ったあたしは、慌てて振り返った。


「やっぱり、こんなのダメだって!」


「えー? 何がぁ?」


卓巳君と視線がぶつかる。

恥ずかしくて目をそらそうと視線を下に向けても、そこにあるのは彼の裸で……。


「やだぁ。やっぱ無理――――!」


今更ながら自分の置かれている状況に気づいたあたしは、バシャバシャとお湯を掻き分けてバスタブの端っこまで逃げて、縁に手をかけた。


――カチッ


へ?

カチ?


――ゴボッ


その瞬間、バスタブの底から震動が起こる。

きゃああああああ。

なんなのー?