店の外に出たとたん、突き刺すような冷たい風が顔に当たる。
あたしはそれを気にすることもなく、ズンズンと足を進める。
そのスピードはもう走っているかのようだった。
なぜだかわからない。
逃げ出したかった。
一刻も早く和美さんから離れてしまいたかった。
耳に残る彼女の優しい声や、あの可愛い小さな手の残像を消してしまいたかった。
だけど、無情にもその足が止まってしまった。
横断歩道の信号が赤に変わったせいで……。
「萌香……大丈夫?」
沙耶が心配そうにあたしの顔を覗き込んでくる。
「あ……うん。ごめんね」
いけない。
沙耶に心配かけちゃう。
あたしはできるだけ明るい声を出した。
「あはっ……びっくりしたね。もう、ほんとあたしってタイミング悪すぎるよね……。卓巳君のプレゼントだよ? 卓巳君のプレゼント買ったら、店員さんが彼女なんだもん……」
しゃべってるうちに混乱してきた。
自分の感情なのに、わけがわからない。
ほんとに情けなくて笑っちゃう。
「こんなプレゼント……渡せるわけないよぉ。彼女のお店のものなんて……卓巳君だって困るよ……」
なのに、なぜか泣きそうになって胸が苦しいよ……。
「……こんなの卓巳君に受け取ってもらえないよ……それに……」
「ちょっ……萌香」
あたしの言葉は沙耶によって遮られた。
その沙耶の顔はさっきよりさらに強張っていた。
嫌な予感がしたあたしは、沙耶の視線の先を追って恐る恐る後ろを振り返る。
はぁはぁと真っ白な息を切らせて立っている女の子。
「……あの……」
首を傾げ、ほんの少し不安そうにしている彼女の顔をあたしは黙って見つめることしかできない。
――和美さん。
どうしよう……。
今の話……
聞かれちゃった?
あたしはそれを気にすることもなく、ズンズンと足を進める。
そのスピードはもう走っているかのようだった。
なぜだかわからない。
逃げ出したかった。
一刻も早く和美さんから離れてしまいたかった。
耳に残る彼女の優しい声や、あの可愛い小さな手の残像を消してしまいたかった。
だけど、無情にもその足が止まってしまった。
横断歩道の信号が赤に変わったせいで……。
「萌香……大丈夫?」
沙耶が心配そうにあたしの顔を覗き込んでくる。
「あ……うん。ごめんね」
いけない。
沙耶に心配かけちゃう。
あたしはできるだけ明るい声を出した。
「あはっ……びっくりしたね。もう、ほんとあたしってタイミング悪すぎるよね……。卓巳君のプレゼントだよ? 卓巳君のプレゼント買ったら、店員さんが彼女なんだもん……」
しゃべってるうちに混乱してきた。
自分の感情なのに、わけがわからない。
ほんとに情けなくて笑っちゃう。
「こんなプレゼント……渡せるわけないよぉ。彼女のお店のものなんて……卓巳君だって困るよ……」
なのに、なぜか泣きそうになって胸が苦しいよ……。
「……こんなの卓巳君に受け取ってもらえないよ……それに……」
「ちょっ……萌香」
あたしの言葉は沙耶によって遮られた。
その沙耶の顔はさっきよりさらに強張っていた。
嫌な予感がしたあたしは、沙耶の視線の先を追って恐る恐る後ろを振り返る。
はぁはぁと真っ白な息を切らせて立っている女の子。
「……あの……」
首を傾げ、ほんの少し不安そうにしている彼女の顔をあたしは黙って見つめることしかできない。
――和美さん。
どうしよう……。
今の話……
聞かれちゃった?