あたしは肩の上でジタバタする。


部屋に入ってすぐにお湯を張っておいたのか、バスルームはすでに湯気が充満している。



――ストン


卓巳君は、バスルーム横に備え付けられていた大きめの洗面台の上にあたしを降ろした。

大理石のような感触に腿の裏側が冷やりとする。


卓巳君はあたしの背後にある鏡に手をついて、あたしの顔を覗き込む。

洗面台に腰掛けたあたしと、ほんの少し腰をかがめた卓巳君の目線がちょうど同じ高さになってる。



「オレのせいなんでしょ? じゃ、責任取って温めてやる」


卓巳君はニヤリと笑うとふいにあたしの唇を奪った。


その唇はあたしのものよりずっと熱くて……彼の熱があたしの中に入ってくるようだった。

その熱に侵されたあたしの頭はだんだんボンヤリしてきて……


何がなんだかわからないうちに、あたしはすっかり生まれたままの姿に。


そして今度はお姫様だっこされてバスタブへ連れて行かれた。