不機嫌でかつスイートなカラダ

卓巳君の言葉で気づいた。

今あたしの頬を伝ってる温かいものは、お風呂のお湯じゃなくて涙だった。


あたしはガバッて感じで両手の甲で顔を覆った。


「なっ……泣いてないってば」


「泣いてんじゃん。ちゃんと顔見せて?」


卓巳君はあたしの両手を掴んで、あたしの顔からそっと退けた。

そしてそのまま、あたしの体を引き寄せる。

あたしはすっぽりと卓巳君の腕に包まれていた。



「ごめんな……?」


頭上で卓巳君の声がする。


謝らないで欲しかった……。

その答えが一番、「お前じゃダメなんだ」って言われているような気がして……。



「ちがっ……これは、卓巳君のせいじゃなっ……でも、なんか止まんなっ……ごめっ…ごめんなさいっ……ひぃーん……」


卓巳君は優しくあたしの髪を撫でながら、「どうしようかな……」とブツブツ呟いていた。


ごめんなさい。

卓巳君のこと困らせるつもりなんてなかったの。


卓巳君が謝ることなんてない。

あたしが悪いの。

あたしが勝手に卓巳君のこと好きになっちゃって。

勝手に期待して……。

おまけに試すようなことしちゃったの。

そんな自分が嫌で恥ずかしくて……それで涙が止まらないの。



「昼間……会おっか?」