あたしは今日も卓巳君の部屋に呼ばれた。


狭いユニットバス。

少しでも動けば肌が触れ合うくらいの距離であたし達は向かい合ってお湯につかっていた。


卓巳君は相当疲れが溜まっているのか、さっきから眠そうに目をトロンとさせている。


そんな彼の顔を眺めながら、あたしの頭の中には色んな疑問が浮かんでいた。


――ねぇ、どうして？


どうしてあたしをここに呼ぶの？

どうしてあたしを抱くの？

あの子……和美さんは卓巳君の何？

本命の彼女なの？


思い切って訊いてみようかな……。


今あたしの頭には、沙耶から言われた言葉が浮かんでいた。


彼女がいるかどうか調べる手っ取り早い方法。

それはクリスマスイブの予定を訊くこと。



「卓巳君っ……」


あたしの声に、すでに目を閉じて眠りそうになっていた卓巳君は、ピクンと体を動かして目を開けた。


「ん？　何？」


「……イブの予定って何かある？」


「へ？　イブ？」


「うん……クリスマスイブ」


卓巳君は突然目が覚めたように視線をキョロキョロと動かすと、バスタブの縁に置いてあったミネラルウォーターのペットボトルを手に取った。


「イブねぇ……」


そう呟くと、ペットボトルを咥えて水を口にした。


その先の答えを聞くのはすごく怖かった。

だけど、勇気をださなきゃ……。


「もし予定なかったらなんだけど……会えない？　ダメ……かな？」


「ん――……」