「で、どんなだったの? 関口卓巳のエッチって」


「どんなって……」


沙耶の尋問はまだ続いていた。


「一緒にお風呂……入って……」


「まじで? いきなり?」




あたしも酔っ払ってたし、いつもより大胆だったかもしれない。


だって元彼とだってお風呂なんて一緒に入ったことないのに……。


合コンを抜け出して連れていかれた先はラブホテル。

すぐに押し倒されるのかと身構えたあたしの手に卓巳君はそっと触れた。


両手であたしの手を包み込んで自分の口元に持っていくと「はぁ……」と息を吹きかける。


初めて間近で彼の顔を見た気がする。

居酒屋は照明が暗くてよくわからなかったけど、こうしてみると優しそうな目に鼻筋の通ったキレイな顔をしている。

とてもあんなエッチな発言するような人には見えない。

黙っていたら、きっと爽やかな好青年に見えるんじゃないかな。



「冷た……」


卓巳君は、そう呟くとあたしを引き寄せた。

あたしはすっぽりと彼の腕の中に包まれる。


「体も冷え切ってるし……震えてんじゃん」



「それは……」


あたしはおずおずと彼の胸の中から顔を上げる。

手が冷たいのも、体がガタガタと震えてるのも……きっと寒さのせいだけじゃなくて……。


「卓巳君のせいだよ……。あたし緊張してるんだから……」


「へ?」


卓巳君は一瞬目を丸くして……それから天を仰いで「まいった……」とかなんとか、ブツブツつぶやいていた。


そして、あたしの体はひょいと抱え上げられて、そのままバスルームへ。


「ちょ……ちょっと何すんの?」