あたしはその場から動き出すことができずにいた。
卓巳君と彼女は仲良さそうに笑顔で会話している。
時々その声がこちらまで漏れてくるものの、話している内容までは聴き取れなかった。
ただ、二人は相当仲が良いのだろう。
卓巳君は「おせーよ」なんて言いながら彼女の頭を小突いたりして、からかっているように見えた。
なんていうか、すごく甘いムードが漂っているような気がした。
やがて二人は、すぐ傍にあるお店に入っていった。
そこはオーナーが外国から買い付けてくる雑貨を扱うお店。
アンティークの雑貨やアクセサリー、手作りのおもちゃや絵本などが小さな店内に所狭しと並んでいる。
いかにも女の子が喜びそうな店構えで、あたしもよくショーウィンドウから中を覗き込んだりしていた。
店内にいる二人はちょうどその大きなウィンドウの傍に立っていたため、外にいるあたし達からもその様子がよく見えた。
小柄な彼女……和美さんは何かを手にして、頭一つ分ぐらい背の高い卓巳君を見上げている。
そんな彼女に目を細めて優しい表情を向ける卓巳君。
ウィンドウはまるで映画を映し出すスクリーンのよう。
二人は恋愛映画の中にいるみたいに絵になっていて、あたしはそれを眺めることしかできないただの観客。
「何あれ? ……あの子……誰? 友達とか……だよね」
あたしと同じように呆然としていた沙耶がそこでやっと声を出した。
「さぁ……どうかな。わかんない……」
わかんないけど……。
たった一つはっきりしていること。
それは、今日映画の試写会に行けなかったのは、彼女と会うためだったということ。
そして、いつもいつも忙しいって言ってて……
あたしとは部屋で会ってエッチするだけなのに、彼女とは外でこうやって会っているんだ。
卓巳君と彼女は仲良さそうに笑顔で会話している。
時々その声がこちらまで漏れてくるものの、話している内容までは聴き取れなかった。
ただ、二人は相当仲が良いのだろう。
卓巳君は「おせーよ」なんて言いながら彼女の頭を小突いたりして、からかっているように見えた。
なんていうか、すごく甘いムードが漂っているような気がした。
やがて二人は、すぐ傍にあるお店に入っていった。
そこはオーナーが外国から買い付けてくる雑貨を扱うお店。
アンティークの雑貨やアクセサリー、手作りのおもちゃや絵本などが小さな店内に所狭しと並んでいる。
いかにも女の子が喜びそうな店構えで、あたしもよくショーウィンドウから中を覗き込んだりしていた。
店内にいる二人はちょうどその大きなウィンドウの傍に立っていたため、外にいるあたし達からもその様子がよく見えた。
小柄な彼女……和美さんは何かを手にして、頭一つ分ぐらい背の高い卓巳君を見上げている。
そんな彼女に目を細めて優しい表情を向ける卓巳君。
ウィンドウはまるで映画を映し出すスクリーンのよう。
二人は恋愛映画の中にいるみたいに絵になっていて、あたしはそれを眺めることしかできないただの観客。
「何あれ? ……あの子……誰? 友達とか……だよね」
あたしと同じように呆然としていた沙耶がそこでやっと声を出した。
「さぁ……どうかな。わかんない……」
わかんないけど……。
たった一つはっきりしていること。
それは、今日映画の試写会に行けなかったのは、彼女と会うためだったということ。
そして、いつもいつも忙しいって言ってて……
あたしとは部屋で会ってエッチするだけなのに、彼女とは外でこうやって会っているんだ。

