不機嫌でかつスイートなカラダ

しばらくして、あたし達は店の外に出た。

頬を突き刺すような風がビュッと吹いて、あたしは思わず首をすくめた。


「関口卓巳ってさ、とりあえず彼女はいないんでしょ?」


沙耶が歩きながら問いかける。

あたしは頭を横に振った。


「わかんない……。いるかもしんない」


卓巳君の研究室で聞いた名前が頭にひっかかっている。

――“和美さん”。

彼女は卓巳君にとってどんな存在なんだろう……。

彼女?

それともただの女友達?

だけど、服を洗濯してアイロンがけするような仲なんだもん。

かなり親密な関係であることは間違いなさそうだ。


「んー……」


沙耶は腕組みして考え込んでいる。


「まずは彼女がいるかどうか知りたいなら、手っ取り早い方法があるよ?」


「え……?」


「もうすぐクリスマスじゃん。24日のイブの予定を聞いてみれば? もしも彼女いないならデートぐらいしてくれそうじゃない? 逆にダメだって断られたら彼女がいる可能性大だけど」


クリスマスイブかぁ……。

恋人のいる人にとっては、年に一度の一大イベントだよね。


「ま、最悪、うちみたいなパターンもあるけどね……」