キョトンとするあたしの目の前に差し出されたのは小さな箱。


「これ懐かしくない?」


見覚えのある苺模様のパッケージ。


「アポロチョコだぁ……」


そのチョコはあたしも子供の頃に良く食べていた。

ギザギザの小さな円錐で、上が苺味、下がミルクチョコレート味の二層になっているやつだ。


「ほら。口開けて?」


言われるままに口を開ける。

卓巳君は一粒取り出してあたしの口に放り込んだ。


「なつかしぃ……」


舌でその甘みを味わっていると、懐かしい記憶が甦ってきた。

昔、お母さんと一緒に買い物に行くと、よくこれを買ってくれた。

当時のことを思い出して、自然と顔が綻んじゃう。


だけどそんなあたしの様子を見て、卓巳君は別な意味に取ったようだった。


「すんげぇ、幸せそうな顔すんなぁ。女の子って甘いもん好きだね」


そう言って満足げに笑っている。


「オレにもちょーだい」


「え……」


突然自分の顔に影が降りてきたかと思ったら、あっという間に唇を奪われた。


「……んっ…」


卓巳君の舌がゆっくりとあたしの口の中を堪能する。

そしてあたしの舌の上ですでに溶けて原型をとどめていないであろう、チョコを絡め取る。


「甘ぇ……」


「卓巳くん……」


「全部、ちょうだい……」


「ん……」


卓巳君の体も息も熱い……。

あたしもきっと同じようになってる。

もう、止めらんないよ。