「卓巳くん、なんか痩せた?」


卓巳君に抱きしめられながら呟いた。

なんだか前より骨ばってきた肩のラインが気になる。


「最近ロクなもん食ってねーもん」


卓巳君はむくりと起き上がると、側にあったTシャツをさっと着る。


「あんま寝てねーし」


「忙しいもんね……」


卓巳君が着替え始めたので、あたしも脱がされた自分の下着を探す。



卓巳君は理工学部の4年生。

今は卒業研究の追い込み時期らしい。


そのせいで帰りがいつも遅いのだ。

学校に泊り込んでいることもめずらしくない。


「忙しくても……ちゃんと食べなきゃダメだよぉ?」


――何か作ってあげようか?

言いかけて口をつぐんだ。


あたしは彼女じゃないから。

そんなこと言われても迷惑かもしれない。

彼女気取りするなよ……って引かれるかもしれないもん。



言いたいことが言えないなんて……。

こんな関係はおかしいのかもしれない。


それでも、会えなくなるよりはいい。


嫌われるよりはずっといい。




彼の背中を見ながら


――そんなこと考えてた。