ベッドでまどろみながら卓巳君の顔をじっと見た。


目がトロンとしてて、今にも眠ってしまいそう。

あぁ……

目、閉じちゃった。

睫毛……長いな。


なんだか無防備な寝顔が可愛い。

頬に軽いキスをして、頭をナデナデ。


すると卓巳君は片目だけほんの少し開けて「まだ足りない?」とニヤリと笑った。


「お、起きてたの?」


「かろうじて……でも、ヤバイ……」


そう言って、また目を閉じた。

それなのに、もそもそと動く右手はあたしの内腿に触れた。


「……マシュマロだぁ……オレ、ここ好き」


その手が少しずつ位置を変えて

上に……上に……上がってくる……。


今あたしがどんな風になっているのか気づかれるのが恥ずかしくて、顔を覆って目を瞑る。


「やっぱ足りなかった?」


クスリと笑うと、またあたしの体にじわりと体重をかけた。



あたしの体はもう卓巳君に夢中になってた。


完全に溺れてた……。


だけどそれはもう体だけじゃないこと


自分でも、わかってた。



卓巳君があたしの上で一瞬辛そうに顔を歪ませる。


そんな顔も……


「――ツッ……萌香ッ」


その時にあたしを呼ぶかすれた声も……


――好き。



好きなの。


好き。


好き。


何度も口から零れそうになるその二文字をあたしはぐっと飲み込む。


涙で潤んだ瞳に気づかれたくなくて、そっと目を閉じた。