「卓巳君……」


「ん?」


卓巳君は顔を上げて、あたしの目を覗き込む。


「あたし今、“好き”って言葉じゃ足りないぐらい卓巳君のことが好き……」


「オレも……」


熱い吐息が首筋にかかる。


「愛してる」


そう耳元で囁かれて、泣きそうになったあたしは卓巳君の体にキュッとしがみついた。

卓巳君の手があたしのキャミソールの中に入ってくる。


きっとわざとだ。

触れるが触れないかぐらいの微妙な指先に焦らされて、あたしの体の熱はどんどん上昇する。


もっとちゃんと触って?


そう思って、キュッと目を閉じた瞬間……




――ぐうううううう


なんて、この場に相応しくない音が響いた。


卓巳君の手がピクンと止まる。


「卓巳君……?」


「悪い……腹へったぁ……」


プッ……


あたし達は同時に吹き出した。


「そういや、オレ、病院抜け出したから、夕飯なんも食ってないんだった」


卓巳君はあたしの上から体を起こしながらお腹をさすっている。


「そうだったの? 何か買ってくれば良かったね。あ……そうだ!」