「はい。バンザーイ」


あたし達はベッドの上で向かい合って座っていた。

卓巳君はまるでお母さんが子供にするように、あたしに言った。


あたしは言われるままに、両手を上に上げる。


タートルネックのセーターは卓巳君によって捲くり上げられていく。

スポンと顔が出た瞬間、またキス。


「もぉ……」


恥ずかしくて、真っ赤な顔で睨むと

「イヤだった?」

悪びれる様子もない卓巳君がニヤニヤ笑ってた。


「イヤじゃない」としか答えられないじゃない。


卓巳君の腕がスッと伸びて、露になったあたしの首筋……それから胸元に触れる。


「まだ、残ってんな」


それは卓巳君につけられた赤い印。


「うん。多分、当分消えないと思う」


あたしは疑問に思っていたことを尋ねることにした。


「ねぇ……どうしてキスマークなんてつけたの? 普段はこんなのつけないじゃない」


「ああ……それは……」


卓巳君は言いにくそうに口をもごもごさせる


そしてなぜか子供みたいに拗ねたような顔をして「聞きたい?」とあたしに尋ねる。


あたしが黙って頷くと、卓巳君は、はぁ……と小さくため息をついた。


「ヤキモチだよ……」


「え? ヤキモチ?」