まるで拗ねた子供みたいに、あたしの耳元で囁く。


「ほらね。萌香チャン、愛されてるでしょ?」


隣で優一君が楽しそうに笑ってた。


えーと。

これは、つまり……。


いわゆる……

ヤキモチ?


卓巳君は、あたしの肩を抱いていた優一君にヤキモチを妬いてこんな行動に出たの?


「たっ……卓巳君っ」


あたしは慌てて卓巳君の体を押す。

だって……

恥ずかしいよぉ。


いつの間にか、あたし達二人はライトに照らし出されていた。

きっと照明担当の人もこの展開を面白がっているんだ。


今まさに、このホールにいる全ての人の目があたし達二人に注がれている。

そんな感じだった。


卓巳君はあたしから少しだけ体を離し、手にしていたバラの花をあたしの目の前に差し出す。


そしてスーっと息を吸った。


「萌香チャン……」