不機嫌でかつスイートなカラダ

和美さんが指差したのは、卓巳君が入った部屋の隣のドア。


卓巳君と離れ離れになってしまったことで、あたしの不安はますます大きくなる。

これからいったいどうなるの?

あたしはゴクリと喉をならして、そのドアを見つめた。


和美さんがゆっくりとそのドアを開ける。

目に飛び込んできたその部屋の景色にあたしは目を見開いて驚いた。


「これ……」







そこは大きなホールのような部屋。


パイプイスが整列した状態で置かれている。

ざっと見たところ、縦横ともに14、5列ぐらいは並べられているんじゃないだろうか。

中央には花道のように1メートルほどの通路が設けられている。

即席で作られた客席といった感じ。


そこにはすでに多くの人達が座っていた。

パジャマ姿の人もいれば、私服の人もいる。

おそらくこの病院の入院患者とその家族なのだろう。


そしてあたし達が立っているホールの入り口付近、前方には一段高い段差があって、ステージのようになっている。



「んー……もう席空いてないなぁ……残念。近くで卓巳の困った顔見たかったのになぁ……」


和美さんはキョロキョロと見渡して、楽しそうにはしゃいでいる。


「しょうがないか、時間ギリギリだし。じゃ、立ち見で悪いけど……」


和美さんに背中を押されたあたしは、ホールの一番後ろの壁際までつれて行かれた。


「姫ー! 卓巳見つけてくれたんだって?」