不機嫌でかつスイートなカラダ

卓巳君の言葉の意味がわからない。

あたしはその意図を確かめたくて、彼を見つめ続ける。


「いや、なんでもねぇ……」


ポツリと呟くと、ニカッと微笑んでその表情を変えた。


「もう会わないって言われたのに、勝手なことしてごめんな。けど、オレ……萌香チャンのピンチには駆けつけるからさ。また何かあったらいつでも呼んでよ。……なんて、これもうぬぼれかな」


「卓巳君……?」


卓巳君の言ってる意味がわかんないよ。

なんでそんな優しいこと言うの?


「じゃ、オレもう行くわ。送ってやれないけど、気をつけて帰れよ?」

そう言って背を向けてしまった。


呆然と立ちすくむことしかできないあたし。

卓巳君の姿がどんどん遠ざかってしまう。


どうしよう……。

どうしよう……。


このままで良いわけない。


言わなきゃ。

あたしの気持ち……。

ちゃんと伝えなきゃ……。

神様、あたしに勇気をください。


あたしは卓巳君の元へ駆け出した。


「待って……! 卓巳君っ!」