不機嫌でかつスイートなカラダ

全身の血の気が引くってこういうことを言うんだと思う。

なんで?

卓巳君との大事な思い出なのに……。

そんな風に言わないでよ。


「オレとも遊んでよ?」


「……やめてよ……」


声が震える。

もうこれ以上聞きたくないって思うのに……。

なぜかどうしても確かめたくなった。


「なんで……なんでそんなこと知ってるの?」


「みんな知ってんじゃねぇの? 学部内では有名な話だよ。アイツ、自分で言いふらしてんじゃん。『合コンで女持ち帰って、ヤった』って。得意げに自慢してたらしいよ」


その瞬間、体の力が抜けた。

そして、頭の片隅にあった記憶がフラッシュバックのように甦る。


卓巳君の研究室に行った時、女の子達があたしを見ながらヒソヒソと話していた内容。


『クスッ……あの子が……』
『……萌香ちゃんだってさ……』
『……ああ……例の……クスクス』


あれってそういうこと?

あの時合コンに来てた人達以外も、みんな知ってたんだ。


あたしと卓巳君が出会ったその日に体の関係を持ったこと。

みんな、そういう目で見てたんだ……あたしのこと。

そして笑ってたんだ。

誰とでもすぐにエッチしちゃう軽い女だって……。


なんだ……そうだったんだ……。


あたしって、ほんとバカ。


この恋は体から始まったけれど……

それでも卓巳君を想う気持ちは……純粋なものだって思ってた。

ううん。

そう信じたかった。

だけど周りからしたら、あたしなんて出会ってすぐにエッチしちゃうような女に見えるんだ。