不機嫌でかつスイートなカラダ

「隙ありっ」


――パシャン


「きゃっ」


いつの間にか近づいていた卓巳君が手で水鉄砲を作って、あたしの顔にお湯をかけていた。


「もぉ、いきなりひどいよぉ……」


あたしは顔についた水滴を手で拭う。


「ぼーっとしてる方が悪いんだろ。萌香チャンて体育の成績悪そう」


卓巳君は悪びれる様子もなくケラケラと楽しそうに笑ってる。


むっ……なによぉ、バカにして。

……たしかにあたしは鈍クサイけどさぁ。



「ほらまた、隙だらけ」


――チュ

それは軽いキスだった。


バスルームにキスの音が響く。

あたしは驚いて口をパクパクさせることしかできない。


「萌香チャンて……すっぴんでもあんまり変わんないデショ?」


「へ……?」


「だって、メイク全然崩れてねーもん」


卓巳君がじっとあたしの顔を覗き込む。

いつの間にか肩に回されていた手に、あたしはまたドキドキする。

そんなキレイな瞳で見つめないで欲しい……。

あたしは彼の視線から逃れたくて俯いた。


「やっぱり……あたしなんかとやらない方がいいと思う」