「じゃ、今日も1日頑張れよー」

と、よくありそうな台詞を言って先生は教室から出て行った。

『あたし、本当に良太と美柚。お似合いだと思うんだけどなぁ…』

と、独り言だったはずの言葉が…

「『はぁ!?』」

『だから、何言ってんのよ!違うって言ってるじゃない!』

「おい、だから何で俺がこいつと……」

『あ…聞こえてた?』

完全に2人に聞こえていたみたいで。

また、色々言われてしまった。

う~ん、2人はお互いにどう思ってるんだろう…

「奈緒、ちょっとこっち」

『ん?』

蓮弥にそう言われて振り向くと、

『っ、うわ』

椅子に座ったままの状態で、隣に座っている蓮弥に引き寄せられてしまった。

あたしの頭は、ちょうど蓮弥の胸あたりにある。

…いい匂いがする。蓮弥、香水つけてんのかな。

そう思って少し顔を上げた瞬間、蓮弥と目が合った。

『…蓮弥?どうしたの。』

少しの沈黙があると、下から見る蓮弥もカッコ良くていいかも…

なんて考えてしまうあたし。

そして、やっと蓮弥が口を開いた。

「良太とはいえ、他の男とあんま仲良く喋んな」

と少しムスっとした表情であたしの顔から少し目線を横にずらしていった。


──キュンッ

もちろん、あたしの心は完全に蓮弥で埋め尽くされていて。

なんか嬉しくて

『うんっ』

なんて笑顔で言ってみたら…

それが正解だったのか間違いだったのかはわかんないけど

──ちゅっ

触れるだけの、優しいキスをされた。