私は性格も明るくなって、たくさん友達が出来ていた。

気の合うたくさんの仲間に囲まれて、幸せだった。

私は優に肩車されて、晶子の帽子を奪おうと必死だった。

俊也はその光景を見ていた。

私に近寄り、怒り始めた。

「香!」

「俊也?どうしたの?びっくりした!」

「どうしたの?じゃねーよ。忙しくて会えないって言ってたけど、何してんだよ!何されてるんだよ!ちょっと来いよ!」

「俊也、違うよ。」

「何が違うんだよ?」

「俊也、お願い!私の話を聞いて?本当に何でもないの。部活が終わったから、皆で仲良く遊んでただけだよ。何でもないでしょ?」

「何でもない?何でもない事あるかよ!香は無神経だよ。俺の、俺の気持ちも少しは考えてくれよ!」

俊也は今にも泣きそうだった。

「俊也?大丈夫?」

「俺は、もうしてやりたくても、香をおぶってやる事も抱き抱えてやる事も何も出来ねーんだよ。他の男が簡単にやれる事が俺にはもう出来ねー。」

「俊也…。」

「さっき、俺、お前を肩車してる奴にすっげぇヤキモチ焼いた。俺が出来ねー事、彼氏でもないのに簡単にするなって。俺、嫌なんだ。香が他の男に触られるのが嫌なんだ…。」

俊也の物凄く悲しそうな顔を見ていたら、胸がとても苦しくなった。

私は俊也を抱き締めて言った。

「俊也、本当にごめん。私、本当に無神経だった。けど、俊也、違うよ。私、例え、俊也が私をおぶったり、抱き抱えたり出来なくても、私良いよ。今までだって十分幸せだったよ。だって、俊也が私を愛してくれて、大切にしてくれたから…。怖い位、幸せだったよ。そんな事、出来なくても、私は俊也が好きなの。俊也が大好きなの!俊也が良いの!だから、何も思わず、優に肩車されてた。ごめんね。」

俊也は黙ったままだった。

「大丈夫?」

「香…。」

「ん?何?」

「俺が悪いんだ。俺、香がどんどん綺麗になって、明るくなって、どんどん男女問わず、友達が増えていくだろ?何人かの男は俺みたいにぜってぇお前の事、好きになってるよ。あいつだって、肩車してた奴だって、お前の事、好きかもしんねーよ?」

「そんな事ないよ。誰も私の事なんか好きにならないよ。大丈夫だよ。」

「香、あんまり自分の事話さないけど、俺に言わないだけでぶっちゃけモテてるだろ?俺だけ置いてきぼりにされてる気がするんだ。不安なんだ。」