ずっと会いたかった俊也がいた。

「矢田、ごめん。」

「香、ごめんね。」

田川くんと葉子ちゃんが同時に謝った。

「良いよ。私達の事思ってしてくれた事でしょ?謝らないで。」

「悪かったな。じゃあ俺ら邪魔者はこれで帰るから、二人でちゃんと話し合えよ!矢吹、しっかりな!」

「香もしっかりね!」

二人は帰って行った。

「香、俺そっち行って良いか?」

「うん。」

暫く沈黙が続いた。

「ごめんな。こんな事して。俺、意気地無しだからさ。香、本当ごめん。」

「良いよ。俊也は悪くない。謝らないで。」

「香、俺とやり直せねー?嫌だ?」

「嫌じゃないよ。」

「じゃあ…」

「俊也は私なんかで本当に良いの?本当に幸せ?」

「あぁ。俺は香が良いんだ。俺は香が誰よりも好きなんだ。」

「…。」

「こっち向いてよ。何か喋ってよ。」

私は嬉しくて泣いてしまった。

「おい、どうした?大丈夫かよ?」

「だってー」

「香?」

「嬉しくて、つい…」

「俺、本当に死にかけだったんだからな。」

「私も寂しくて死にそうだったよ。」

二人で笑った。

「もう、別れるなんて言うなよ。」

「はい」

「よし!じゃあ行こうぜ!」

「うん。」

「俊也!」

「何?」

「俊也が大好き」

「…。」

「俊也も私の事好き?」

「あぁ。」

「言わなくても分かるだろ?」

「分かんないよ。」

俊也は私を強く抱きしめてくれた。

「分かった?」

「うん」

「俊也?本当に私で良いの?嫌な事言われるかもしれないんだよ?」

「良いよ。そんな事!聞かなきゃ良いだろ?」

「そうだけど…。ごめんね。」

「何で謝るんだよ!香は何も悪くないだろ?もう気にするな!俺も気にしねーし!」

「うん。分かった。」

本当にこれで良かったのかな?

俊也は私とこれからも付き合ってて本当に良いのかな?

俊也だったら、もっと良い子たくさんいるのに本当に良いのかな?

本当に私で良いの?

本当に良いの?

暫くの間、私達の付き合いは順調だった。

けれど、俊也に優しくされればされる程、辛かった。

俊也は私にとったら、本当に勿体ない彼氏だった。

俊也といると本当に幸せだったけど、いつも不安だった。

私の中の不安は消える事はなく、それどころか大きくなるばかりだった。