今更言えないよ…。

それより、どうしよう。

俊也、待っててくれてるし、早く行かなきゃ…。

でも、この状態で私行ったら、付き合ってる事、バレちゃうよ…。

どうしよう…。

何か皆に言われるかな?

私は待っててくれている俊也の所へ向かった。

「俊也!」

「香」

「今日早かったね!ごめんね。待たせて。」

「結構、早く終わったんだ。良いよ、全然待ってないから…。」

「帰ろっか?」

「あぁ。」

私は一刻も早く学校から離れたかった。

「え?矢田さん?さっきのカッコイイ人矢田さんの彼氏?」

「嘘ー?」

ヤバい…バレた…。

みつかっちゃった…。

「香、知り合い?」

「同じクラスだけど、そんなに仲良くないから…。良いよ!
行こ?」

「うん。」

俊也と一緒に駅に向かおうとしたら、他の生徒がこっちを見て騒ぎ始めた。

「あー真美見て?さっき校門にいたカッコイイ人じゃない?」

「本当だー!ショック!もっと可愛い子が彼女だと思ったー!」

「本当だよ。何であの子なの?何でー?良いなぁー。」

「有り得ないよねー?梨江の方がずっと可愛いのにー」

「あの子超上手い事やってるし!」

「あの人ならもっと可愛い子と付き合えるのに…。可哀相!」

「可哀相だよね?もっと可愛い子と付き合えるはずなのに…!」

「あの人変わり者なんじゃない?わざわざ、あの子選ばないでしょ?」

「出会いがなさ過ぎるんじゃない?保善って男子校じゃん!良い子みつける為の繋ぎなんじゃない?」

「じゃあ遊ばれてるんじゃん、あの子…」

「そうじゃないの?あれは遊び人でしょ?遊び人じゃなきゃ、あの子と付き合わないよ、あのルックスじゃ…。」

「えー最低じゃん。」

「分かんないけど、でも、きっとそうだよ。」

分かんないなら、そんな事言わないでよ。

俊也の事、酷い事言わないで…。

「俊也…。」

「俺は大丈夫だから。香、気にすんなよ。行こ?」

俊也は優しくそう言って、私の頭を撫で、私の肩に手を回した。

「でもさ。一応、うちって名門女子校だから、うちの生徒と付き合いたいっていう男子たくさんいるじゃん!友達に自慢する為に付き合ってるんだよ!うちの生徒なら誰でも良かったんだよ。」

俊也はそんな人じゃないよ。

何も知らない癖に俊也の事、無茶苦茶言わないで…。

言わないで…!