「体育祭の練習で、俺達今まで全然話せなかったのに、たくさん話せたよな?俺、高校の推薦決まってたのに、取り消しになった。相当参ってたのに、そんな事忘れれる位、矢田と話せて嬉しかったよ。」

「覚えてる。矢吹くん、全く元気なかったから。体育祭の練習をするようになった頃位から、元気になっていった気がする。」

「知ってたのかぁ。何かその辺りから思いっきり吹っ切れたんだよな。俺、俺さ、矢田と一緒の高校に行きたくて必死に勉強したんだ。一緒の高校を受けたいって先生にお願いしたら、見事に断られたけど。」

俊也は笑っていた。

「冬休み入る前の終業式、矢田、通知表忘れた事あったよな?俺、矢田から好きな人いるって聞いて、その場で凹んでさ。矢田に凹んでるのばれない様に必死だったんだぜ?俺、矢田の好きな奴が羨ましくてさ。顔も見れないし、話せなくなる位好きって、どんな奴なんだって気になってしょうがなかった。」

「私…あれね、通知表忘れたなんて、あれ、嘘!」

「嘘?」

「下校してたら、後ろに一人で矢吹くんが歩いてたから…一言でも良いから、話したくて通知表忘れた振りしたの…まさか矢吹くんが一緒に来てくれるなんて思わなくて。本当ごめんね。」

「矢田…」

「怒った?」

「怒ってないよ。」

「本当に?」

「あぁ。」

「嬉しかった。矢吹くんが一緒に来てくれて。嬉しかった、本当に…」

「…。」

「あの時、矢吹くん、可愛い子って言ったよね?私、可愛くないよ?だから、私振られたと思った。」

「あの時、俺、すっげぇドキドキした。気持ちがばれるんじゃないかって…。俺にとったら矢田は可愛いんだ。可愛くてたまらない。」

「矢吹くん…矢吹くんって物好き?」

「何で?」

「私の事可愛いって、矢吹くん相当物好きだよ!」

「…。」

「物好きね…そんな事ねーよ!自信持てよ!」

私は笑った。

「何笑ってんだよ?」

「何でもない!」

「言えよ!てか、さっきから俺ばっか言わせるなよ!」

「ありがとう。矢吹くん。不思議だね。こうやって二人で話せる時が来るなんて。」

「そうだな。」

「なぁ、伊藤より俺の方が好き?」

俊也はニヤニヤしながら聞いてきた。

「な、何で?」

「比べものにならない位好きなの!大好きなの!って言ってたじゃん。」

「もう!やめてよ!忘れてよ!やだー」