センチメンタル・ギター

「鼎君の初恋は私?」

不意の問いに口に含んだパスタが鼻から出そうになる


「小さい頃、よく言ってくれたじゃん、僕が穂奈美ちゃんを守るんだって」


確かに言った記憶もあるが…

「あのな、子供の頃の話なんてもう時効だろ」

鼻から出そうだったパスタを無理矢理口に戻す


「それに穂奈美ちゃんだったら、今となりゃ守ってくれる人ぐらいたくさんいるじゃん」

気を取り直してもう一度パスタを口に含む

穂奈美ちゃんはミスコンで優勝するぐらいの美しさ

ただ食事をしてるだけなのに

周りからの視線はヒシヒシと感じる


フォークでパスタをクルクルと弄びながら

「皆ダメっ、最近の子ってひょろひょろしてて守ってもらえそうにないもん」

「デブ専?」

穂奈美ちゃんは声をあげて笑う

「そうかも」


希望と驚きのせいでまたパスタが鼻にあがってくる


「格闘技でもウエイトがある人のが強いじゃん」


そうですね…


嗚呼、僕の淡い希望

筋トレでもしようかな