センチメンタル・ギター

「じゃぁ、また明日っ」

改札まで見送って手を振る


何処にいても決して手放さないMP3を取り出し

僕は今来た道を

今度は一人で帰り始める

さっきまで二人で歩いた道が

少しだけ寂しく感じる


家に帰り着くと赤いヤカンでお湯を沸かし

その間に埃を被ってたギターを取り出した

これでも昔は真剣にやってたから

そこそこ弾ける


深く息を吸って弾く

…引いた

チューニングは狂ってるし

ピックで弾いてたから手じゃ弾き難い


おっ、お湯が沸いたみたい

すぐにギターを置いて僕はいつもの味のコーヒーを入れる


―今日は何を聞いて寝よう―

綺麗に整ったCDラックから

初めて穂奈美ちゃんに貸したCDを取り出した