「..あっ!番号忘れてた」
そう言って、騎士はスルリとあたしの手からケータイを取り番号を入れた。
綺麗な手、細い指
女のあたしよりも綺麗なんて...嫉妬しちゃうな
「・・なーんで俺の手、そんなに見てんだよっ!!」
「・・・はっ...はぁ!?・・べっ...別に見てないんだからっ!!」
ヤッ....ヤバッ!!!
絶対、見惚れてた....。
あたしが真っ赤な顔で反論していると、“はいっ”と言ってケータイを掌に置いた。
「はいはい、ツンデレなメルさん、お疲れ様」
ポンポンッとあたしの頭を撫でながら笑顔を向けた。
...なんで、そーゆうこと...できちゃうのかな?
あたしの気持ちなんて...ガン無視!?
すべてが“素”でやっていると思うと、胸がチクリと痛む。
ドキドキしてるのだって....気付いていない。
「.....ありがと。励ましてくれてるの?・・・大丈夫、ちゃんと謝る」
高鳴った胸を振り切るように強めの声を出した。
「・・大丈夫だよ、アイツなら許してくれる」
そう言って、また微笑みながらあたしの頭を優しく撫でた。
