それから、自分が信じられないくらいのスピードで家に帰った。





「はぁ・・・っ・・・はぁ・・・」


いつも見ているドレミファ荘より、一段と暗く・・・重く見えた。



「あら、純恋じゃない」


「あっ・・・紀子さん」


私が部屋に入ろうと思ったら後ろから声をかけられたので見てみると



ドレミファ荘の大家さん


安田　紀子【ﾔｽﾀﾞ ﾉﾘｺ】さん


とっても優しくて、心強くて、面倒見が良くて


親がいない・・・私にとっての母親的存在。



私は事故で親を亡くして.....



その時に、優しく面倒を見てくれたのが紀子さんだ。



お葬式でも泣けなかった私が、他人である紀子さんの前で泣いてしまった。



それを見た親戚は「このまま、ここに住む？」と言ってくれて、今に至ってる。



あのころは心を完全に閉ざしていて、でも紀子さんの前になると自然に体が動いた。



ぎゅ～って


紀子さんに抱きつく、あの優しい感触が大好きなんだぁ