警官は部屋の電話をとると


どこかに電話した。





「博報堂さんを


ここに


連れてきてくれ」






しばらくすると、




警官に連れられて博報堂が来た。







「この子が手相を治せと言ってるんだが、



できるか」




「早紀ちゃんか。




手相の件ね」





「ノートがあれば出来るのよね」



と、早紀が言った。




「治せると云うより、


皮膚を柔らかくする効果がある軟膏、



いわゆるクリームを塗って、



よく擦ってもらう方法しかないな。



浅い線なら数日で消えるし、




深くても



数ヶ月かけて消せるがのぅ」





「これは


どうなの?」




「浅いし、


メスか何かで付けられたものなんじゃろ。


数日やれば


消えると思うがの」



「じゃあ、


クリームを貰えませんか」




「残念ながら、





あの時ノートが


焼けてしまったじゃろ。


作ろうにも作れないんじゃ」






「残念だったな」




警官が早紀に言った。




どうすればいいのよ

と早紀は思った。





「あなたが総理夫人になることには変わりないから、


手相なんて気にするなよ。



あなたの記憶から死相線のことは消しておいてやる。



死にそうになっても俺たちで何とかしてやるから




心配するな」




警官はそう言って、



早紀の肩を叩いた。