総「そっかぁ…。17でもう血の海見ちゃったんだ…。怖くなかったの?」
沖田さんの目は、とても心配そうだった。
『…私、そんなに暗い顔してました?』
総「僕が聞いてるのは違うよ。…怖くなかったの?」
『………。』
怖くなかったわけがない。
今だって、皆の血の匂いがしているような気がするし、あのヌルッとした肌触りも足の裏に残ってる。
総「関係ないかもしれないけどさ、夕飯の時、楽しいなんて言ってたけどちょっと寂しかったでしょ?」
『!!?』
総「夜魅ちゃんはさ、まだ親しかった人や家族が亡くなっちゃったばっかりで寂しいとか、苦しいとか……。」
そう切って、沖田さんの手は私の頭をぽんぽんと撫でた。
総「……しばらく笑うなんて出来ない筈なんだよね。ましてや、戦を知らなかった女の子がほんの数刻で、戦で全てを失った時なんて……。」
頭にあった手が私の頬にくる。
総「…それなのにごめんね?あんなに無神経な人ばっかりで。」
沖田さんの親指が動く。
その行動で自分が泣いていたことに気付く。
『…ごめんなさっ……。起きてから、泣いてばかりで…。』
総「今言ったばかりじゃないか。泣かないのが不思議なんだよ?」
そう言って、私を少し持ち上げて掛け布団をめくり、敷布団の上に降ろした。
総「いろいろと受け入れるにはまだ時間がかかるだろうね。でも大丈夫。ゆっくりでいいんだ。」
『沖田さん…。』
今日1日だけで、どれだけ沖田さんに助けられただろうか…。
総「普段の自分を取り戻すには、規則正しい生活することだと僕は思う。だから今日はもう寝た方がいいよ。」
私は沖田さんの言うことを素直に聞くことにして、すぐに眠りに落ちた。

