「おはようございます。」


その翌日、2人で元気に出社する俺と奈留。


すると、院長に呼ばれた。

「…葦田。
復帰後で悪いが、俺と一緒に明日から1週間、岐阜の大学病院に出張に来てくれ、と言われたんだが…
いいか?」


「いいですよ…」


奈留のことが心配だったが、
俺は承諾した。

院長に比べれば俺もまだまだだし…
学ぶべきことはたくさんある。


そのことを…お昼休みに会った際に奈留に告げる。


「明日から1週間…院長と一緒に岐阜の大学病院に出張に行くことになったから…ごめんね?」


「明日からなんて…急すぎるよ…
だけど…ちゃんと待ってるからね?
猫ちゃんと一緒に。」


その言葉が嬉しくて、ぎゅっと奈留を抱き締めた。


「そうそう。
雅志先輩は、安心して出張に行って下さい。
私たちが面倒見ますから。」


後ろの木の影からひょこっと顔を覗かせた由紀子ちゃん。


「ってか…見てたの?」


「雅志~!!
先輩が子供扱いする~泣」

俺は抱きついてくる奈留をなだめて、微笑んだ。


幸せだよな…俺…


そっと口づける。


「あ~!!
先輩!!
人前でリア充しないで下さい~」


そぉ言う由紀子ちゃんをよそに、2人で職場に戻った。


仕事帰りに、奈留と2人でレストランで食事。


明日から1週間、離れ離れになる。


奈留…寂しそうだよな…


そして翌日。


新幹線の駅まで行って、待っていると…後ろから抱きついてきた人が。

胸の感触ですぐ分かる。

…奈留だ。


「やっぱり寂しい…」


泣きそうになりながら言う奈留に、そっとキスして、 ジャケットのポケットに入っていた袋を奈留に渡し、
「それ、俺だと思って?
いない間も、お前は俺のことだけ考えてればいいからね?
じゃあ、行ってくる。」


「行ってらっしゃい。」


そぉ言う奈留を抱き寄せてから、新幹線に乗り込んだ。