「あのさ…奈留…
昨日…ちょっとこの子の里親…見付かるまで…俺らで世話しない?
見つけたの…俺らだし。」

「……あの…あの…さ?
同棲しようとかじゃ…ないよね?」


「まだそれはないよ。
…今はまだ……ね?
奈留がどうしても…っていうなら…考えてあげてもいいよ?」


「え?ちょっ…///」


雅志って…

意外にドSっ!?


「冗談。
……奈留の家のがいいんじゃない?
あんな広い家に1人っていうのは寂しいし、ちょっとは紛れるだろ、そぉいう気持ち。」


クスッと笑いながら話す雅志に、不覚にもときめいちゃった。
私…ドMなのかな…汗


「わ…私は別に大丈夫だけど…
上手く世話できるかなぁ…高校のときの宿泊研修で大学病院泊まり込んでいる間にね…飼っている犬が…死んじゃってたことあったしっ…」


「大丈夫だって。
俺も極力フォローするし、まずは、俺らが世話して、体力を回復させて、早くペットホテルに仲間入りさせてあげることが最優先なんだから。
…な?」


横目で院長を振り返ると、肯定するように深く頷いていた。


「…奈留っ!?
泣くなよ…」


雅志のその言葉と共に、彼の腕が背中に回されて、唇が重なる。


「これで機嫌直った?」


「直った…けどっ…」


「そぉいうことは2人っきりのときがいいなぁっ…///」


「はいはい。
わかったから、白衣着な? 朝の朝会。
…院長、後はよろしくお願いします。」


雅志から手渡された白衣を着て、背筋を伸ばすと、院長の言葉に耳を傾けた。


「まぁ…診療の際にはくれぐれも、私情は持ち込まないこと。
特に三咲と葦田。
分かってるな?」


「はい。」


それは分かってる。

雅志との約束だもん。
プライベートと仕事はきちんと線引きする、って。


今日も…長い1日が始まる。