「あ、急ぐなら、私の車、使っていいから行きなさい。」
「あ…ありがとうございます。」
お言葉に甘えて、院長さんの車を使わせてもらう。
運転は俺で、もちろん奈留が助手席。
助かったぁ…
普段俺、最寄り駅までは電車で、そこから歩いて来てるもん。
時間がヤバイときは車で来るんだけど…ね?
『案内を開始します。』
院長…カーナビに病院スタッフ全員の住所を入力してくれているんだよなぁ…
そぉいう気配りも、院長が皆から慕われる理由の1つかな。
そんなことを思いながら、しばらく車を走らせる。
「いつかドライブデートとか…したいかも。」
可愛いこと言うよな…奈留は。
「いつか…仕事が2人ともオフの日にな?」
「うんっ!!」
ドライブデートかぁ…
いいよなぁ…
海とか…行きたいかも。
「んでさ…ついでに…海とか行かない?」
「楽しそう~♪
海とか大好きっ!!」
『案内を終了します。
…目的地周辺です。』
「早くね?
ってか…奈留の家…どこ?」
立ち並ぶのは…豪邸ばかり。
「あ…そこっ!!
黒い門のある家っ…」
その横の表札には…
「三咲」の文字が。
家…デカくね?
「すごいでしょ?」
すごい…けど…さ…
この大きい家で…奈留は一人ぼっちなんでしょ?
「奈留1人で…寂しくないの?」
「寂しいけど…今は…雅志がいるし…
病院に顔出せば…お母さんがいるし…
お父さんには…テレビ電話で会えるし…
奈留のお父さんは、発展途上国に派遣されている医療チームのリーダーとして、いまなお1人でも多くの命を救えるよう、尽力しているらしい。
「奈留…?平気…?
涙目だけど…」
「大丈夫っ…」
泣いてるし…
大丈夫じゃねーじゃん…



