Five LOVE☆

しばらく休んで息を整えると、大分落ち着いてきた。

「奈留ちゃん、大丈夫?
行こうか。」


「あっ…はい!!
大丈夫ですっ!」

他のウサギや猫や金魚などのお世話は同僚に頼んで、私は先輩のもとに向かった。
その間にも、先輩が出勤してきた。

すれ違い様に、先輩に言われた言葉。


「新米のくせに。」

その言葉に、かなり傷ついた。
少し涙がこぼれそうになったのをこらえて、リードを渡してくれた先輩に笑顔を向ける。

私は、コーギーとシェットランド担当。

いつも飼い主さんが連れていくらしい公園に向かった。


「ケージに入ってばかりだと、窮屈だからね。
こうして、思いっきり遊ばせてあげるんだよ。」


「そうですよね。
可哀想…ですよね。
ずっと狭いケージの中なんて。」


「職場…どう?
楽しい?
まあ…またまだ慣れないことが多くて、大変だと思うけど。」


「楽しいですよ!
まあ…院長さんとか先輩方には…怒られますけど…
職場を離れると院長さんもすごく優しい方で…本当に居心地がいいです。」

「それなら良かった。
何か…元気ないように見えたからさ。」

そぉ言って、朝の日差しに負けないくらいの眩しい笑顔を見せる雅志先輩の前で…
とてもじゃないけど…さっきのことは言えなかった。
職場に落ち度があるわけじゃない。

私がしっかりしないから、いけないんだ。

物思いにふけっていた私を現実に引き戻したのは、先輩の
危ない!

って声と、柴犬…淳平の吠え声だった。

見ると、ココアが道路に飛び出すところだった。

視界の端には、ココアに向かって一直線に走る軽自動車。
…私がしっかりしなきゃ。
私…新体操部だったんだから。

助走を付けて、側転を繰り返しながらココアの元に。
ピィッ!

雅志先輩と口笛を吹くのは同時だった。

すぐに私の側に、ココアが駆け戻ってきた。


「良かった…!」