その…翌日には告別式、通夜が行われた。

僕は、邪魔になってはいけないと思い、
悠月の様子を見に行くだけのつもりだった。


だけど…

悠月の隣に、1つだけの空席。


悠月の叔父さんが僕に気付いて、そこに座るように促した。


「でも…僕はまだ…
星河原家の親族ではないので…迷惑ですよ…」


「そんなことない。
皆が、君を歓迎しているよ。」


極めつけは、顔を真っ赤にした悠月からの、
「側にいて…」
っていう言葉。

悠月の頼みなら…断れないな。


「そういうことでしたら… 僭越ですが…
お邪魔させてもらいます。」


悠月の隣で、僕も静かに冥福を祈った。


「ここで、故、星河原菜月さんの好きだったピアノを、ご親族で娘さんの、星河原悠月さんに披露して頂きましょう。」


悠月の弾くピアノは、すごくキレイだ。
「月光」という曲名の通り、全身に月の光を纏っているみたいで、麗しい。


僕は、譜捲りをしながら思った。


「悠月さん、ありがとうございます。
ここでもう一曲、ゲーム会社に勤められている悠月さんとその彼氏さんにより共同作詞作曲された、
『the statue of happiness』、演奏して頂きましょう。」


悠月の叔父さんにそう言われた。

僕は、場違いだと言う悠月を遮って、ピアノの前に座る。


「聴かせてあげようよ、悠月。
母さんに。
僕達の愛の深さ。
ね?」


目を赤くしたまま、僕の言葉に頷いた悠月。

2人で、最初の演奏より滑らかで、清らかな演奏を披露した。


これが、僕の新たな可能性を見出だすことになるなんて、まだ知らなかった。


和之side〈終〉

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