公太郎は突然の私の訪問に驚いた顔を見せた。



視線が離されることなく、私と公太郎を繋ぐ。



先に口を開いたのは公太郎だった。



「…よぉ」



と少し微笑んで、手を上げる公太郎。



普通に付き合っていた時と変わらない笑顔と仕草。



ついこの間まで、何事もなく一緒に過ごしていたのに不思議だ。



懐かしく感じるし、変な感じがする。



そこにいるのが藤沢じゃなくて、公太郎だっていうことにびっくりしてる私がいる。


だって今の私には、目の前に立つのは藤沢が当たり前になっていたから。



公太郎が私の前にいることが当たり前だった時は、もう昔のことみたいだ。



「どうしたの?こんなとこで?今授業中だよ」



それに、何でこんなに穏やかな気分なんだろう。


昨日の私は、公太郎が他の女の子と歩いていただけであんなに悲しくて仕方なかったのに。



こうして真っ直ぐに彼を見ることが出来ている。



「なつみだって授業中なのに何してんだよ」


公太郎は吹き出しながら私を見た。



なつみ、って呼んだ公太郎がすごく懐かしいよ。