シンとなる教室。

クラスの皆は教壇で講義をする先生の話に
必死になってメモをとる。


私はその様子を他人事のように眺めてる。

当然シャーペンを握る手はちっとも動いていない。


無意識の内に欠伸が漏れた。


昨日の悶々とした気持ちは晴れず

おかげで私は全然寝れなかった。


一番隅の窓際に座る藤沢に視線を向ける。


私と同じようにシャーペンは動いていない。
それどころか頬杖なんかついて、ウトウトしちゃってる。


外から差し込む日差しが当たって、藤沢の髪の毛がキラキラしてる。



「なつみ」


いきなり声をひそめた智美に、背中を突っつかれ

弾かれたように藤沢から目を離す。


「なっ…何?」

私もいつもよりも小さなトーンになって答えた。


「昨日、どうだったの?」


「はっ?」


「とぼけないでよ」って言って、
智美は後ろの席で身を乗り出す。

もちろん先生の目を気にして。


ニヤニヤした笑顔に嫌な予感。


「藤沢君の放課後レッスン」


……。


「で?詳細は?」


「ない」


私はきっぱり答えて、しつこく尋ねてくる智美を無視した。