ヤバい…。


ヤバい。ヤバいよ私。


何でこんな――…



「あ…あぅ」

私はきっと真っ赤だ。
体全体が真っ赤だ。

あり得ない。


何でこんなドキドキしてるの?


だって、藤沢だよ?


藤沢が笑ってくれただけでこんな…。



「あぅ?」


藤沢はまた笑いながら私の上げた奇声を真似する。


私は首を振って、下を向いた。

これ以上藤沢を見ていたら、心臓がもたないと思ったから。



「あ…ありがとう…」

これだけ言うために必死なんて。


前の私なら考えられなかったのに。


横目で隣を伺うと優しい目をする藤沢と目が合った。



「おう」



と照れたように頷いて眼鏡を掛け直す。


その癖にまで、胸が締め付けられる。


何コレ?

私の疑問は染み込んで広がっていく。




この気持ち

私、味わったことある。



藤沢が「帰るか」って言って

席を立つ背中を見て

目が覚めたみたいに思った。



…でも、ダメだよ。



踏み出してしまいそうな私を

もう一人の私が引き止める。



だって私……



私には―――……