「それから、御主もジパングの民だ。」

「ああ。」


「だがな、妾はそれも嫌なのだ。」

「はい?」


「御主にはジパングの民ではなく、

ジパングの父。

王になってもらえたら妾は嬉しい。」

「嫌だ。」

「…そう言うと思っていたぞ。

だが、幸大は妾が嫌いか?」


「…好きだ。」

「ならば、」


「でもな、王女と結婚して王位に就くって…俺のやりたいことじゃないんだよ。」

「やりたいこと?」

「そう。

俺はな、ハーレムが良いんだ。」


「王になれば堂々と側室を…」

「それじゃあ駄目だ。


正室と側室には格差がある。


俺や王女がどう思おうと世間の見る目は違う。

だから…」


「もう、言わずともわかった。


そして、それでこそ妾の選んだ勇者だ。」


「さすがは王女。

見る目があるね。」


「幸大。

私の名前、覚えておるか?」


「ああ。

ヒミコだろ?


俺の世界にも昔、卑弥呼って王女が居てな。

それはそれは有名なんだよ。

俺の国で知らない奴はいないな。


そいつはさ、100以上ある国を統一したんだよ。

まぁ、小さな国だけどな。」


「妾はそんな立派な者ではない。」

「卑弥呼は偉い奴らしいが立派な奴かは知らない。


でもさ、立派な奴ってのは、

自分のやりたいことをやって、それに皆がついてきてくれるほど信頼されてる奴だろ。」