「ふざけるな!」


「勝率はこの前よりも格段に低い。

だが、これしかない。」



「そうやって、なにもかも解ったようなことを!」

ネネが胸ぐらを掴む。


「なにもかも解ってたら苦労はしねぇよ。

俺は馬鹿だからさ。


だけど、馬鹿だからできることってあるだろ?


今、俺が言った策は馬鹿じゃなきゃ考えもしない。」


「この…馬鹿が、」

「一人で戦うのが怖いって思えるのはかなり幸せだよな。


だって、今までは誰かが一緒に戦ってくれてたんだからさ。」


「ふざけるな!

たいして戦う回数が多くもないくせに!!」


「だな。

お前と一緒に戦ったこともほとんどないしな。


…やっぱり、決めた。


俺は一人で戦う。


その間にミンを潰す。

そしたら万事解決だ。」




「その覚悟は本物か?」


「ああ。

もう、決めた。」



「…馬鹿め。」


ネネは掴んだままの胸ぐらを引き寄せた。

そして、口付けをする。

「…んっ!?」

幸大が塞がれた唇で呻く。


「…ぷはぁ、

ネネ、お前、何を、」



「お前が戦う覚悟を決めたなら、私は!


私は、お前が帰ってきた時のための覚悟をした!」



「…、ったく。」