数分後


「あれ?

王女を迎えに行ったんじゃなかったのか?」

「ええ。

王女様が祭を楽しんでくるように、と。」


「へぇ。


まぁ、王女ともなれば気軽に祭に参加するなんてできないからな。」


「幸大さん。」

クノイチがやって来る。


「ん?

隣の奴は誰だ?」

「先ほど知り合いになりました。」


「へぇ…?

何か、妙だな。」


「そうですか?」

イヨが言う。


「あ、べつに何か見た目がどうとかじゃなくて、違和感…か?」


「どこかで会ったことでも?」

クノイチが言う。


「いや、亜人種の女性は王女とイヨ以外ほとんど会ったことはない。」


「では思い過ごしでは?」


「そうかもな。


…って、俺、嫌われてる?」


「いえ、そんなことは。」


女性は答える。


「何か、視線を合わせてくれないし。」


「…すみません。」

女性は幸大と視線を合わせる。


「…そーゆーことか。」


幸大がニヤリと笑う。


「どうかしましたか?」

クノイチが言う。


「犬耳が可愛いと思ってね。」

「幸大さんらしいですね。」


「あ、髪にゴミがついてるぞ。」

幸大が頭に触れ、

「とりゃっ!」


耳を揉む。


「ふにゃあぁぁ!?」