「…、あの王女様が力を簡単に貸すか?」

ベンケイに訊く。

「俺の知る限り、可能性は低いな。」


「任せてください。

王女様に会わせていただければ、私に切り札があります。」


「まぁ、会わせるくらいなら。」




謁見の間


「貴様がワコクの者か?」

「はい。

クノイチと申します。」


「話は幸大から聞いたが、ワコクの将軍を救い出すため、我が国の力を借りたいと申すのか?」

「はい。

その通りです。」

「うむ。

妾とて、幸大には何かと世話になっておる。

幸大の頼みならば何かと聞こうとは思ってはいるが、

他の兵士には納得できぬことだ。」


「承知しています。

そこで、私から提案がございます。」

「提案?」

「はい。

正確には提案ではなく情報提供です。」

「申せ。」

「現在、ネネ様が捕えられている砦、罪人砦と言います。


そこには先の戦いで生け捕りにした亜人種の捕虜達がおります。」

「真か!?」

「はい。

ですので、罪人砦に捕まった仲間を助けにいくという名目でなんとかなりませんか?」


「わかった。


ただちに兵士に伝えよ。

出兵準備。

目標は敵地、罪人砦。

捕えられた仲間を救出しにいく!」


「はっ!」

大臣が動く。


「ネネとやらについては貴様と幸大を遣わす。

二人で何とかせよ。」

「ありがとうございます。」

クノイチが頭を下げる。