ジパング



「幸大!

見てくれ!」


ベンケイが何かを幸大に見せる。

「薙刀か。」

「ああ。

知り合いの鍛冶屋に形を説明したら作ってくれたんだ。

斧よりも使いやすくて間合いが長くなったからな。」

「へぇ。

まぁ、ベンケイって名前にぴったりだな。」

「ぴったりってどういう意味だ?」

「いや、俺の世界に昔、弁慶って言うとても強い武将がいてな。

薙刀と鉄の錫杖を持ってたんだ。」


「薙刀はまだしも、錫杖ですか?」

どこからともなく声がした。

「ああ。

弁慶って武将は坊さんでもあったんだよ。」

「僧侶だったのですか。」

「…。

誰だ?」


ベンケイが言う。

「え?

…そういや、ベンケイの声じゃなかったな。」


「私です。」


クノイチが目の前に現れた。

「うぉっ!?

な、お前かよ。」


「お久しぶりです。」

「どうしたんだよ?」


「実は、ネネ様が幽閉されました。」

「幽閉?」

「はい。

もとから、正義感の強い真っ直ぐな人でしたから悪どい参謀には目の敵にされ。

ここ最近の敗北、敗走はネネ様を排除する格好の理由。」


「で、俺に何をしろと?」

「ネネ様を救い出すには私の力では厳しい。

ですから、この国の力を貸していただきたい。」