千変万化の剣

「普通の剣みたいですね…」

ヒュッ、

イヨの前を何かが走った。


「あ!

剣が!」


少し離れた場所に人影。

手には千変万化。


「なんとも無用心です。

私はワコクの隠密、クノイチと言います。」

「ワコク?」

「敵国ですよ?

御存知ではないんですか?」

「そーいや、聞かなかったな。」

「この剣はいただいていきます。」


「それは無理だな。」

「なぜ?」

「ほら。」

幸大の手には千変万化。


「いつの間に!?


…おもしろいです。

少々、手合わせをお願いします!」


「あいつ、細い剣を逆手で持ってやがる!」

ベンケイが言う。


「忍者刀だ。

千変万化!」


双剣に変わる。


キィンッ、

キンッ、キンッ、キンッ、キンッ、キンッ、キィンッ


「早いな。」

「貴方もです。

隠密の私を相手にここまでとは。

しかし、私の方が上です!」

さらにスピードをあげた。


「悪いな。

俺も手加減はやめだ。


千変万化!」


双剣は二刀小太刀になった。


「ハァッ!」

キィンッ、キィンッ、キンッ、キィンッ、

「隠密、か。

遅い!」

カキィンッ、


「私の剣が折れた!?」


「俺の勝ちだな。」