「わかっておるな?

優しくだぞ?」

「ああ。

行くぞ。」


「…っ!?」

ふにっ、


「ふにゃあああぁぁ!?」


幸大に尻尾を触られた王女が声をあげる。


「やっぱり猫?」

ガンッ、

王女が幸大の頭をグーで殴る。

「いってぇー!

喰らえ!」

ふにっ、

「うにゃあ!?」


「耳より尻尾か。」

「貴様!

何回やる気だ!」

「好きなだけ触れって…」

「ばかか!

もう終わりだ!


さっさと謁見の間へ行くぞ。」



謁見の間


王女は玉座に座る。

生き残った大臣が並ぶ。

「皆、聞いてくれ。

この幸大の働きで城周辺の敵は退いた。


しかし、砦には兵糧攻めにあっている仲間がいる。


良いか?

明日は、救出に向かう。

兵士は十分休ませ、動ける者だけを連れて出陣せよ。」



「しかし、砦の付近には敵が多く、救出は困難かと…」


「幸大を必ず砦まで通せば良い。

幸大、貴様は砦周辺の敵を退け、砦の包囲を解いた後に砦の者と出陣し、敵を我々の軍と砦の軍とで挟み撃ちにする。」


「でもよ、砦に俺が行っても敵と間違えられるだろ。」


「確かに。

しかし、他に単騎で包囲を解ける者は…」


「では、私が一緒に行きます!」

イヨが言う。

「イヨが?」

「はい。

私なら砦の方も知ってます。

だから、私が一緒に行きます!」


「…確かに、それが一番だ。

よし、皆は明日に備えるように兵士に通達せよ!」

「はっ!」


「イヨは幸大の世話を頼む。

幸大もイヨも明日のために早く休め。」